砧の子供たち

んで今週は、第1志望の砧中央病院 (仮名) の精神科に実習に通っている。
ここは子供の精神病患者を集めている珍しい病院なのだ。
多いのは、統合失調症、被虐待児、拒食症など。自閉症は近所の梅ヶ丘病院 (本名) が持っていく。病院ごとに得手不得手があるのだ。
病状の重い子は部屋から出て来れないが、出て来れる子をホールに集めて、曜日ごとに決まったレクリエーション活動が行われる。もちろん治療の一環である。
わざとらしく子供たちにはたらきかけたりはせず、ひたすら遊ぶ。まるでスタッフが自分たちの楽しみで勝手に遊んでいるかのようだ。そのほうが子供が自然に参加しやすいのだ。でももちろん要所要所ではちゃんと仕切っている。プロだ。
活動後スタッフは別室で「振り返り」を行う。子供一人一人について、今日の調子はどうだった、今日見せた行動にはこんな意味がある、などと、スタッフの意見を出し合うのだ。勝手に遊んでいるように見えた看護師さん心理士さんたちの、実は子供たち全員に注がれていた鋭い観察の眼にびっくりする。プロだ。
こんな細やかな治療を行う精神科は、ちょっと他にないのではないかと思う。
今日水曜はお茶会と称して、お茶を飲みおしゃべりしながら患児が持ち寄った音楽を聴く。
ふつうの「楽しげな顔」はできない子が多いのだが、それでもやや明るい表情に見える。
しかし彼らの多くは、向精神薬をどっさり飲んでようやく幻覚発作を抑えていたりするのだ。
彼らの脳内で展開されている戦いに思いを致しつつ、この不思議空間で私も遊んでいる。