FENa 入門

ど素人がえらそうに FENa を語ろうと思います。
私の受験参考書だと、FENa = Clr(Na) / Clr(Cr) とか書いてありまして、
もちろんそれは正しいのですが、
リアランス自体がわかりにくいのに、その商を取るとはいったい何事かと思ってしまい、理解が進みません。
そこで、クリアランスを使わずに FENa を語ります。
わかってない人には、一読の価値あるかも。


溶質X の FE (=fractional excretion, 排泄分画) は、
「糸球体で濾過された (=原尿中の) X のうち、最終的な尿中に排泄される割合」
と定義される。
すなわち、
FE(X)
= 尿中X(量/time) / 原尿中X(量/time)
= (尿量(mL/time) * 尿中[X]) / (原尿量(mL/time) * 原尿中[X])
= (尿量(mL/time) * 尿中[X]) / (GFR(mL/time) * 血清中[X]) ...(*)


ここで、クレアチニン Cr については、その性質から
FE(Cr) = 1
よって、式(*) を、X とクレアチニンについて立て、辺辺割れば、
FE(X) = (尿中[X] / 血清中[X]) / (尿中[Cr] / 血清中[Cr])
が得られる。


なお、原尿量(=GFR) は、正常値 120mL/min、
尿量は変動幅が大きいが、だいたい 1mL/min なので、
FE(X) が 1% を下回る物質は、水に比べて「捨てない」物質、
すなわち人体に有用な物質と、おおざっぱに言うことができる。
Na はこのような物質なので、
FE(Na) は正常では 1%未満。
FE は糸球体以降だけの話なので、腎前性腎不全でも FE(Na) < 1%。
Na を保持できなくなる腎性腎不全では、FE(Na) > 1%。