自閉症だったわたしへ

ISBN:4102156119

「ピリオドと大文字は、一体どうしたの?」と、先生。
「ちゃんと入れました」きょとんとしてわたしは答える。
「そう、入れたのは入れたかもしれないけれど、そこら中に入れてるじゃないの」
「読む人が息つぎしやすいように入れました」

本物の自閉症者が、彼女にとって常に侵襲的な「世界」と必死で渡り合ってゆく様を自ら書いた、魂の記録。
ドラマ「光とともに」など見た人は、自閉症者が自分で自分を語るということがどれだけ貴重か、わかると思う。
読むと目から鱗が何枚も落ちる感じで、読んでる自分の 2歳の記憶とかも引っ張り出されて来る感じで (だいじなものは自分の中にあるということが自明だった、あの頃だ。幼い頃の自明は周囲からたやすく書き換えられる)、まあたいへん。たいへんな本なのだ。
そして翻訳が上手い! 自称翻訳家の私としては、いつか原文とつき合わせて研究してみたい。