正四面体は立方体に埋まっている

連日卒業試験の勉強で、飽きる。何か書こう。
先日の確率の話が好評だった (少なくとも初めてコメントをもらえた) ので、また高校数学を。
といっても、今度こそ陳腐なネタで、ハイレベル受験生には常識かもしれない。とはいえ、教科書レベルでは見かけない考え方。
想定するのは、たとえばこんな問題。

問. 1辺 1の正四面体の体積を求めよ。

普通、正四面体の体積を求めるには、底面積と高さが必要なので、三平方の定理を使って、まず底面の正三角形の高さ、次に立体としての高さの順に求める。後者を求める際には、頂点から底面に下ろした垂線の足は底面の重心に一致し、ゆえに底面正三角形の高さを 2:1 に分割するという性質を利用する。
この方法がとくに面倒というわけでもないが、別の考え方を紹介する。
考え方のキモは、「正四面体は立方体に埋まっている」というものだ。
例えば、xyz座標で、(+-1, +-1, +-1) (複合任意) という 8個の頂点を持つ立体 ABCD-EFGH、これは 1辺 2の立方体である。
この立方体の 8頂点から、互いに隣り合わない 4頂点を選び出す。
たとえば、A(1, 1, 1), C(-1, -1, 1), F(-1, 1, -1), H(1, -1, -1) の 4頂点は、この条件をみたす。
この 4頂点を結んでできる立体 ACFH は、正四面体である。
(証明: 4個の面は明らかに合同な正三角形である。)
さて、いま、4頂点を選んで結ぶ、という方法で正四面体を作ったが、同じ 4頂点による正四面体は、「今回選ばなかった 4頂点のそれぞれを頂点とする三角錐を削り取る」という方法でも作ることができる。
以下、この方法について詳しく述べる。
たとえば、B(-1, 1, 1) を頂点とする三角錐 B-ACF を、億泰の「ザ・ハンド」か何かを使って、立方体から削り取る。
この三角錐の体積は、立方体の 1/6 である。(底面積が立方体の 1/2、高さは同じ)
したがって、三角錐 B-ACF が削り取られたあとの立体は、体積がもとの 5/6 になり、新しい面として△ACF が現れたものになる。
同様に、D, E, G を頂点として、三角錐 D-CAH, 三角錐 E-HFA, 三角錐 G-FHC を削り取ることができる。
4個の三角錐を削り取ったあとの立体は、もはやもとの立方体の面はなく、△ACF, △CAH, △HFA, △FHC を面とする立体、すなわち正四面体 ACFH となる。
以上が、「正四面体は立方体に埋まっている」という意味である。
このことがわかれば、正四面体の体積は、暗算できる。

解. 正四面体は、立方体から、互いに隣り合わない 4頂点を選び、それぞれを頂点とする 4個の三角錐 (1個の体積は立方体の 1/6) を削り取ってできる立体と考えることができる。
よって、1辺 1の立方体を想定すれば、1辺 √2 の正四面体の体積は、1 - (1/6)*4 = 1/3 であることがわかる。
1辺 1の正四面体の体積は、その 1/(√2)^3 であるから、1/(6*√2)